手持ちの無線機 ICOMのIC-703を買い替えようと計画し、半ば自分のために書いたこの比較記事ですが、未だ購入に至っておりません。

そこで2023年版が、追記に次ぐ追記で読みにくくなってしまったので更新記事を書いてみました。

対象無線機は、変わらず今どきのHF帯用の主に固定無線機で20万円以下で買えるものを、ピックアップして比較してみます。

全般的に記載事項について変わりはないのですが、販売価格が全般的に少し高くなっています。世界的なインフレの影響なのか、半導体不足の影響がまだあるのか、人気度合いによるものなのかは不明ですが注目ポイントではあるかと感じます。

対象無線機としては、2023年版では掲載していたICOM IC-7100は、さすがに生産終了から2年以上が経過したので削除して、新たに来年発売が予定されているYAESUのコンパクトトランシーバー FTX-1Fを追加してみました。

(それでもたまにICOM IC-7100は、販売されることがあるようなので興味のある方は過去記事のこちらをご覧ください。今どきのHF帯アマチュア無線機の比較(2023年版)

私の運用条件としては

  • 昔はモービル運用していたが、今後は車に載せる予定はなく主に机の上からの固定運用メイン
  • 最近はFT8メインなのでパソコンとのインターフェースにUSBは必須
  • 机上のスペースがあまりないので、大きいのはNG
  • 保守を考えると発売時期が古いものも避けたい
  • せっかく2アマを持っているので50W機を使ってみたい
  • V・UHF帯には、特にこだわりなし
  • もう買い換えるつもりはないので、長く使えるものを

ということで結果、ピックアップしたのは以下の6機種。

機種名店頭発売時期運用周波数巾・高奥行重さ kg実売価格 円ひとこと特徴
IC-73002016.1HF 50240・942384.2103,800-ベストバランス
IC-7052020.3HF 50 144 430200・84821.1137,280-とにかく小型でずば抜けて軽い
FT-991A2016.10HF 50 144 430229・802534.3136,400-全部載せ
FTDX102021.1HF 50266・912635.9215,400-上級機種に近い
FT-710 Aess2022.10 HF 50239・802474.5117,700-外部スピーカー標準
FTX-1F2025初旬予定HF 50 144 430未定IC-705のライバルと目される
※価格は某ショップの実売価格で比較
機種名受信方式(HF帯)内蔵アンテナ
チューナー
最大送信出力
(HF帯)
エアバンド受信
ワイドFM受信
液晶画面
IC-7300ダイレクト
サンプリング
有り100W
4.3
IC-705ダイレクト
サンプリング
無し10W
4.3
FT-991Aトリプルスーパー
ヘテロダイン
有り100W
3.5
FTDX10ダブルスーパー
ヘテロダイン
有り100W
5
FT-710ダイレクト
サンプリングスーパーヘテロダイン
有り100W
4.3
FTX-1F不明無し10W不明4.3

とりあえず機種別に見てみます

尚、各機説明下の商品リンクは、50W機や100W機だったりするものもありますのでご注意下さい。

ICOM IC-7300

長 所
  • この価格帯のデファクトスタンダード的な存在
  • 各レビューを見ても機能、音、デザイン、使い勝手、すべてにおいてほぼマイナスポイントなし
短 所
  • 2016年発売なので若干古めの設計。
  • レビューで受信音が少々硬めというものがいくつか見られた。
全体印象

とにかく各レビューを見ても欠点のない使いやすい無線機と言う印象です。確かにフロントパネルを見るだけでも感覚的に使えそうな分かりやすい印象を持ちます。これ以降ICOMはもちろん、YAESUもこの機種を基準に設計をしているようにすら感じます。とにかくこれを買っておけば間違いなしという感じです。

一点気になるところがあるとすれば既に発売から8年以上経過しているという点でしょうが、今現在の目で見ても古いという印象は全くありません。それくらい完成されたデザインなのでしょう。

売値も落ち着いているので、未だに第一線の売れ筋の入門機です

いつ10万円を切るかと見ていますが、人気があるので中々そうはなりません。ライバル機で2年前に発売されたばかりのYAESU FT-710よりも店によっては販売価格が高かったりするのは、ある意味すごいです。

Amazonリンク(IC-7300)

ICOM IC-705

長 所
  • とにかく小型で軽い FTDX10の5分の1以下の重量
  • HFからV・UHFのオールモード
  • 使い勝手は、IC-7300と共通していて良さそう
短 所
  • 送信出力は、10Wのみ(外部電源使用時。バッテリー使用では最大5W)
  • とにかく小型を実現するために、アンテナ端子はBNC、USB端子はマイクロ端子など外部インターフェースもとにかくコンパクト
  • 他の機種に比べると、若干高級感には欠ける
全体印象

こちらは型番から見ると私の所有しているIC-703の正統な後継機種。703と同様フィールド運用を主眼として作られているが、固定運用することも充分できて、しかも全波帯オールモードのホントよくできた機種。

最初見たときは表示部と別に本体があるのかと思ったら表示部に全部入っていて重量は、1.1kg。DSP周りの部品を徹底的に小型化し、高密度化してこの軽さを実現しているようです。(YouTubeの某サイトで中身を分解しているのを見ると、帯域フィルタ部のコイルはしっかり20ケ近く入ってます。すごい!)

これならば机の上に置いても邪魔にはならないと思うのですが、アンテナ端子が筐体横に付いている上にあまりに軽いのでケーブルに何かが引っかかる度に机の上で動いてしまいそう。そこは別売りのスタンドのようなものを使ってもう少ししっかり設置する方が良さそうです。

その他アンテナチューナーは内蔵しておらず既に専用の外部チューナーが発売されているなど、とにかく色々な外部オプションを購入してアクティブに楽しむスタイルのようです。

50W機が出てくれれば候補に入りますが、IC-7300との差別化のためにも出ないだろうなぁ。(中身の分解シーンを見ると超過密で、あそこに50W対応のパワーユニットを入れるのは熱的に無理でしょうね。)

在庫状況は、去年よりは良くなっているようですが今現在も品薄状態が続いているようです。

ただ、去年までの半導体不足がどうこうというよりも、人気のための品薄状態という感じです。それでも少し気長にショップに予約を入れておけば入手は可能のようです。

Amazonリンク(IC-705)

商品在庫なし

YAESU FT-991A

長 所
  • 長らくIC-7300のライバル、ということは機能、性能に穴はなし
  • HFからV・UHFのオールモード
  • 各レビューで音の良さの指摘多め
短 所
  • IC-7300と比べてV・UHF帯に出れるという以外、機能的に何が優れているのかがちょっと不明
  • 受信方式が今どきのダイレクトサンプリングではない(短所ではないかも)
  • 各レビューで使い勝手が今ひとつ悪いというものがいくつか見られた
  • IC-7300と同様2016年発売なので、若干古め
全体印象

YAESUのHF機は、これ以降の3機種ともにデザインは基本的に共通。個人的にはカッコいいと思います。

ネット上のレビューで使い勝手(操作性)が良くないとの意見がいくつか見られましたが、動画などで見る限り何が悪いのか残念ながらよくわかりませんでした。少なくとも手持ちのIC-703よりは遥かに良いと思われます。

上記に書いた短所は、ほとんどイチャモンレベル。

ICOM IC-7300やYAESU FT-710はV/UHFには出れませんが、こちらはそこも出られるので若干ライバル機に比べて販売価格は高めですが、全部載せのお得感は魅力です。

全波オールモードでこれだけコンパクトな無線機が13~4万円程度で買えるとか、すごいなぁ。欲しいなぁ。

Amazonリンク(FT-991A)

YAESU FTDX10

長 所
  • 機能的には、上記の機種達より上位の位置づけで20万円以下としてはベスト
  • レビューを見ると受信性能はかなり高い
  • 操作性は、YAESUとしてはかなり改善されている
短 所
  • すいません。わかりません。
全体印象

売値20万円以下の機種としては最上位にある無線機という感じです。操作性の評判があまり良くなかったYAESU機ですが、タッチパネル周りなどだいぶ改善もされているようです。

ただ全体的に高いレベルにある機種のようですが、どうしてもこの機種でないとならないというポイントも見つからない印象を受けます。(デザインも他のYAESU機とほぼ同じですし)

新しく出たFT-710とどこが違うのか気になる所ですが、正直私には性能の違いは分かりかねるのですが、この値段レベルの機種とFT710のようなダイレクトサンプリング方式の無線機では、回路構成の根本が違うように思われます。

八重洲無線のホームページを見ても、FTDX10の場合は回路に使用されているクリスタルフィルターやコイル、集積回路などのプリント基板上の写真が多く使われていますが、そこら辺の機能をソフトウェアで実現していると思われるFT710については、基板上の写真は1枚しかありません。

性能的にどちらの方式が優位にあるのかはたぶん微妙な所ですが、お金がかかっているのは間違いなくFTDX10なのでしょう。

まぁ、ここら辺は個人の考え方と財布に相談で決める、ということで。

Amazonリンク(FTDX10)

YAESU FT710

長 所
  • ICOM IC-7300のライバル
  • 外付けスピーカーが標準で付くなど(Aess版)、受信音にこだわった印象
  • 発売からまだ2年程度
短 所
  • 今の所明らかな短所と言えるようなレビューは見当たらず
全体印象

2年前に発売され、使われている方も増えてきていて Youtubeでのレビューも上がっていますが、明らかなネガティブポイントは見られませんね。

ライバルのICOM IC-7300と較べても性能、操作性、販売価格など、互角の勝負と言う感じです。8年前に発売されたIC-7300と2年前に発売されたFT-710が互角というのをどう理解するのかは難しいのですが、それだけIC-7300が完成された無線機ということなのでしょう。

現在、FT-710は、Aess(スピーカー付)とField(スピーカ無)の2バージョンが販売されており、両バージョンの間では値段が1万円少し違い、販売価格ではFieldの方がIC-7300とほぼ同じという状況です。

どうやらこの両ライバル機種については、YAESUとICOMのどちらのメーカーが好きかとか、見た目がどちらが好きかとか、そういうことで決めても間違いはないようです。(重量も大きさもほぼ同じですし)

同じYAESUの上位機種 FTDX10との違いは、上記のFTDX10の所でも書いたようにダイレクトサンプリング方式のFT710とスーパーヘテロダイン方式のFTDX10では大げさに言うと設計の根本思想が違うほか、以下のような相違が見られます。

  • ディスプレイの大きさ(FT-710:4.3インチ vs FTDX10:5インチ)
  • 受信部でのクリスタルフィルターの有無(FTDX10の方が近接多信号特性(選択度?)が高い

結論的に言えば、この機種はFTDX10の下位バージョンと言うよりも、ICOM IC-7300のライバルと考えた方が良いということですね。

Amazonリンク(FT-710Aess)

YAESU FTX-1F (未発売)

長 所
  • 明らかにICOM IC-705のライバル
  • 名機FT-817/818の正統後継機種をうたっている
  • C4FMデジタル変調方式を採用
  • IC-705と較べて、ちょっとごっつくてメカメカしい見た目
短 所
  • 発売前なので当然詳細はわからず
  • 送信出力は最大10Wまで(外部電源使用時。バッテリー使用で最大6W)
  • オプション品の大きさ、重量、値段が気になる。(値段はともかく大きくて重いとちょっとね)
全体印象

今アマチュア無線機で最も売れていると思われるICOM IC-705に対するYAESUのライバル機がどうやら2025年初旬に発売されるようです。

発売時期、値段、細かいスペックはまだ未発表ですが、正面からの見た目は同社のFTM500の系統です。

Yaesu FTM500

ただFTM500は、ヘッド部分と本体が別になっていますが、FTX-1Fはヘッド部分のみというかヘッド部分にすべてが詰まっているという構造になるようです。ここら辺もICOM IC-705と同じような移動運用を前提としたコンパクト設計になるようです。

そしてそのコンパクトな本体にアンテナチューナーやバッテリーやクーリングファンやスタンドなどのオプションを装着して完成というスタイルですね。

なのでそれらのオプションを装着するとどのくらいの大きさ、重量、値段になるのかで、この機種の評価がされることになるでしょう。

IC-705が気になる私としては、これまた気になる機種が登場しそうで楽しみです。

結 論

ここ数年迷ってきた中で狭い机の上に置いても邪魔にならなそうなICOM IC-705にだいぶ心が動いていたのですが、ここへ来てYAESUからそのライバル機が登場しそうということで結論は持ち越しです。

でも、移動運用はせず家での運用メインで考えれば多少大きくてもICOM IC-7300とYAESU FT-710の50W機や100W機で迷う所。

いや待てよ、もしかしたら将来V/UHFで運用してみたいと思うかもしれないと考えるとYAESU FT-991Aを持っておけば問題ない。

相変わらず全く絞り込めず、とりあえずYAESU FTX-1F待ちですね。