今年の春発売予定のVHF/UHF/SHF帯のアマチュア無線機、IC-905の価格の噂が聞こえてきました。

その価格約40万円!!

筐体は既に発売となっているIC-705(実売価格12万円程度)とほぼ同じものを使っていて、何故にこんなに高いのか。

実際にこの機種を使って、この機種の肝であるSHF帯に出ようとなると2.4GHz帯用と5.6GHz帯用にそれぞれパラボラアンテナを設置し、高周波帯ゆえのデリケートなアンテナ配線を行い、しかも設置状況によっては現状殆ど交信相手もいないという、このものすごくハードルの高い無線環境を使う人がいるのか。

ネットでの情報やICOM自らの情報を合わせて見るとそこに

ICOMのSHF帯への並々ならぬチャレンジングスピリット

が見えてくるようでした。

ICOM IC-905の特徴は?

現時点ではまだ具体的な発売時期も価格も正式に発表はされていませんが、ネットやYouTubeでの情報を見ると、発売時期は今年の春価格は40万円程度と非常に高額です。

細かい話は抜きにして、この機種の大きな特徴は、2.4GHz(2W)、5.6GHz(2W)、10GHz(0.5W)(オプション)のSHFと呼ばれる周波数帯での運用ができることです

その下の周波数帯である144MHz、430MHz、1.2GHzでの運用も可能ですが、この周波数帯だけであれば同じICOMのIC-9700(実売価格18万円程度)を買えば良さそうで、この40万円ー18万円の差22万円が、SHF帯運用の価格となるようです

何故今SHF帯なのか?

そもそもこの2.4GHz帯と5.6GHz帯とは、どういう帯域か総務省の資料を調べてみると

この中で、2.4Gと5.6Gのアマチュア無線に割り当てられている領域を見ると、無線LAN、産業科学医療用、各種レーダー、ロボット用無線などと競合しており、しかもアマチュア無線業務は二次業務と呼ばれる非優先業務に分類されるらしく、業務無線の需要が増えれば事実上使用不可となる可能性がありそうです。

ですのでICOMとしては、割り当て確保のための需要喚起を見込んで、SHF帯への新機器投入を挑んできたのではないでしょうか。

電波を出すのにいくらかかるの?

本体価格は、40万円程度のようですが、この機種の本体とはコントローラー部とRFユニット部に分かれており、その間を特殊なLANケーブルで接続し、アンテナは各帯域専用のパラボラアンテナを設置することになるようです。

しかも超高周波領域のため、それらの設置及び調整にはかなりシビアな調整が必要と思われ、専用の調整機器などもないと出力が2Wなので、有効な電波を出すこともできなさそうです。

そう考えると2.4G及び5.6Gの両方で出すとなると、本体以外にも最低でも10万円以上かかりそうです。

さらに10Gにも出る場合は、オプションのユニットが15万円と更にパラボラアンテナをもう1本で計20万円

もうこうなってくるとタワーも必要でしょうか。

なんだかんだで全機能を使うためには、100万円程度の予算を見込んでおかないとダメなんじゃないでしょうか。

何故ICOMは挑戦するのか?

しかもこれだけの高額な設備を揃えても、交信相手は殆ど皆無の可能性もあるわけです。

何故、ICOMはこんな機種を出すのでしょうか?

現在見えてくる情報を総合すると以下の3つが理由ではないでしょうか。

  1. 周波数帯の確保のための戦略的チャレンジ

ICOMの広報資料を見ると、ICOM技術陣の新たな技術への挑戦とアマチュア無線トップメーカーとしてのプライドにかけて、現在割り当てられている周波数帯を死守するという姿勢の表れなのではないでしょうか。

SHF帯という荒野の開拓に打って出たICOMの姿勢には胸を打つものがあります

2.海外も含めた需要喚起のため

とは言え、使ってくれる人がいなければ絵に描いた餅に終わってしまう可能性もあるので、やる気と技術を持った人のためにIC-905というツールを提案したのではないでしょうか。

日本国内ではバンドプラン的にかなり厳しいことになっていますが、海外ではそこまで厳しくない国もあるでしょうから、そのような国のアマチュア無線家にも広く使ってもらうことを狙っているのではないかと。

3.(価格に関して)既存の局や研究者への配慮

本体だけで40万円というのは、やはりかなりの金額ですが、むしろ今はそのぐらいの金額を出してでもチャレンジしてみたいというやる気と技術のある人だけが参入してくれれば良いということなのでしょう。

興味本位でこの周波数帯に電波を出して、既存の局や研究者、特にお仕事業務(一次業務)に迷惑をかけることになると元も子もなくなるので、そう言ったことも含めての金額と考えられます。

結 論

今の所、私のような半端なアマチュア無線家は見てるだけしかできそうもないですが、ICOMのSHF帯への挑戦は非常に感銘を受けると共に、いちICOMユーザーとして応援して行きたい気持ちになり、長々と憶測だらけの駄文を書いてしまいました。

でもICOMのチャレンジングスピリットに感動してしまったのでお許しください。