(過去のブログで私の所有しているAOR AR-7030PLUSのインプレを数回に分けて掲載しましたが、それらをまとめて加筆修正した上で再掲載します。)
2006年に7030PLUSを導入
メインで使用しているAOR AR7030PLUSですが、2006年に購入したもので、もう使い始めてから17年の月日が経ちました。
2006年当時は、メインでJRC(日本無線)のNRD-345を使っていたのですが、性能面、機能面で物足りなさを感じるようになっていたので、新しいメイン受信機を探していました。
最終的には、同じJRCのNRD-535とこのAR7030が購入候補に残ったのですが、使っている方の音の良さの評価と、間もなく製造修了になって入手困難になるという危機感でAR-7030に決定。
AR7030の部品に一部鉛が使われていて、それがヨーロッパの製造責任の何らかの規定に引っかかるということで、製造修了になったと記憶しています。
どうせ購入するなら上位バージョンでということで、AR7030PLUSを、確か13万円ほどでアペックスラジオで購入したのですが、PLUSを選んだのは良い判断でした。
ちなみにPLUSとノーマルの違いは
- 強信号特性の強化(妨害波による感度抑圧を低くする)
- 周波数精度の向上
- 相互変調特性の向上
- 4kHzのセラミックフィルター追加
- メモリーを100Chから400Chに増強
と要は3万円分の性能チューンナップ
そして受信機らしからぬ、おしゃれなデザインと安っぽさを感じさせない重厚な作りは、購入から17年経った今でも、「いい受信機だなぁ」と感心しています。
(追記)
ちなみに購入時の付属品は、ACアダプター、操作用リモコンと取扱説明書(と箱)。取扱説明書は、全60ページの本編とPLUS用の追加マニュアル全8ページの2冊です。
AR7030の素晴らしさ
この受信機の良さは、まず長時間聴いていても疲れない音の良さです。
私の手持ちの他の受信機であるICOMのIC-R75やNRD-345と比べても、音に角がなくやわらかい印象の音がします。かと言ってぼやけた印象ではなく輪郭ははっきりしています。
また、トレブル、バスに分かれてのトーンコントロール調整ができる点もポイントは高いです。
内蔵スピーカーを使っても音質的には特に不満はありません。
ただ、内蔵スピーカーは、筐体上面についているので、聴いていて若干明瞭度が落ちるため、最近は外部スピーカーを使うようにしています。
次いで素晴らしいのは、その堅牢な作りです。
がっしりした筐体、つや消しのメインパネル、ずっしりしているけど軽い動きのメインダイヤル、どれを取っても安っぽさがなく、受信機然とした所がなく、インテリア的にも部屋になじむかと思います。
まあ、受信機然とした所がない、という点については好みが分かれるかと思います。同時期に販売していたJRC NRD-535のいかにも受信機と言った顔つきも魅力的でしたから。
感度については、IC-R75やNRD-345で聞こえない局が、こちらでは聞こえると言うほどの差はありません。
ただ、受信機能は豊富で、4種類のバンド幅のフィルター、フィルターを上下の周波数にずらすことができるパスバンドシフト、3種類のオートゲインコントロール(AGC)、VFO、RFゲイン調整、IFゲイン調整、同期検波、豊富な受信モード(CW,LSB,USB,NFM,DATA,同期AM)と盛りだくさんです。
最大の弱点
ここまでAR7030Plusの良い所を並べてきましたが、この受信機の最大の弱点は、その操作性の悪さです。
初めてこの受信機を目の前にした人だと、付属のリモコンなしには、その機能を使いこなすどころか、目的の局を受信することすら間々ならないかもしれません。
リモコンがあれば勘の良い人なら、何とか受信可能かと思いますが、非常に使いにくい印象を覚えるでしょう。
ひとつのボタンやダイヤルにいくつもの機能を持たせていて、表示上それらの機能についての説明も親切ではありません。
ボタンによっては、” * ” だとか “○●”なんてのがボタンの上に書いてあって、全く意味不明です。
ただ受信機やラジオに限らず、たとえば最近のデジカメなどは、ひとつのボタンやダイヤルに複数の機能を持たせるのが当たり前になっているので、そういう意味では時代を先取りしたジョン・ソープ氏のデザインと言えないではありません。
それでも、慣れとはすごいもので、しばらく使っているとリモコンを使わず、本体のボタンとダイヤルのみで操作することができるようになります。
リモコンが壊れたら修理は利かないでしょうし、これだけの販売もなさそうなので、できるだけリモコンは使いたくないという心配性と言うか貧乏性と言うか、そう言う感情も働いていると思われます。
私の場合購入以来、リモコンにはサランラップを巻いて、ほこりや水分が浸入しないようにする気の使いようです。
おかげで今回、何年かぶりでサランラップを取ってみたら、そのキレイなこと。新品のようです。
もう、そんなに気を使わなくても良いか、とも思いましたが、やはり写真を撮った後、再びキレイにラップしました。
購入後のAR7030
AR7030Plusを販売していたのは、AORという日本に本社のある企業なのですが、設計は、イギリスのジョン・ソープ氏、製造は、同じイギリスのAOR MFG.という所で行われていたようです。
ただ、現在は、AORのホームページを見てもイギリスには製造、販売の拠点はないようです。
メンテナンスもイギリスで行うのかと思いきや、それは日本国内で行っていたようです。
2012年に画面の液晶表示がおかしくなったため、その修理と全般的な調整を依頼した所、10日ほどで戻ってきてちょっとびっくりしました。約15000円でしたので、良心的と言えるでしょう。
ところが、最近(約5年前)本体のボリュームの動作が少しおかしくなってきたため、AORの国内営業部門に修理の可否を問い合わせたところ、残念な回答が返ってきました。
“当時の担当修理技術者が退社したりの、諸事情でAR7030 シリーズ全てにおいて対応できかねる”
との回答でした。(AORのホームページにも対応終了の旨、掲載されています。)
がーん、ついにAR7030も修理対応が終了してしまいました。まあ製造終了から10年以上が経過しているので、仕方ないと言えば仕方ないのですが、残念です。
とても自前で修理ができるとは思えないので、壊れたらそれまでということになりそうです。
今のところ、それほどの不具合ではないので、これからも大事に使っていこうと思います。
(追記)
このレビューを書いたのが2018年でそれ以降もメインの受信機として使用していますが、特に不具合も発生していません。
上記レビューで書いたボリュームの不具合も気のせいだったらしく、それ以降特に問題なく使用しています。