(過去のブログで私の所有しているJRC(日本無線)のNRD-345のインプレを数回に分けて掲載しましたが、それらをまとめて加筆修正した上で再掲載します。)
JRC(日本無線)唯一の普及型受信機の登場
日本無線の民生用短波帯受信機と言えば、その初めはNRD-505あたりになるのでしょうか。
手元の1980年版「BCLマニュアル」を見ると価格が389,000円、そのひとつ下のグレードのNRD-515が258,000円といずれも、当時の中学生には、非現実的な価格でした。
それだけに「日本無線」は、当時「八重洲無線」と共に憧れのブランドでした。
八重洲無線にはFRG-7という、やや現実的な価格の受信機がありましたが、日本無線には、長らく20万円以下の受信機は存在しませんでした。
それが1996年に10万円を切る低価格で、突如普及型受信機NRD-345が登場しました。
型番がNRD-4○○ではなく、NRD-345という辺りに日本無線側の「NRD-5○○番台の受信機群とは、全く別物だよ。」というエクスキューズが見て取れます。
いずれにしろ、10万円を切る価格で日本無線の受信機が手に入るとあって、30歳くらいになっていた私は、当時勤務地が近かった秋葉原のカクタエックスワンでカタログをもらい、販売価格調査の結果、ロケットアマチュア無線本館で、1998年に確か8万9千円くらいでメデタク購入いたしました。
当時は、BCLラジオのクーガ2200しか持っておらず、BCL熱もだいぶ冷めかけていたのですが、NRD-345によって再び、その熱が上がってきたのでした。
実際に使っての機能説明
この受信機のパネルには、それなりにボタンやつまみが付いていますが、実際に使用するものは少なめです。
中央のメインダイヤルの左側部分に関しては、[電源スイッチ]と[FILTER]ボタン以外は、全く使っていません。
[NB]と[NB LEVEL](ノイズブランカー)は、全くどう効くのかわかりませんし、メモリー関連([MEMO][MW][SCAN][PASS])も使い勝手が良くないので全く使っていません。
[CLOCK]と[TIMER]のタイマー関連も使ったことはないです。
メインダイヤルの右側部分に関しては、
[AGC](オートゲインコントロール)ボタンは、フェーディングに対してFASTとSLOWでゲインをコントロールしているらしいのですが、いまいち効きがよくわかりません。
[TONE](トーンコントロール)は、変化量は少なめですがノイズを低減させたり、聴きやすさを調整するために意外と重宝します。
[LOCK](ダイヤルロック)ボタンは、ダイヤルが敏感で少し触っただけですぐに周波数が動いてしまうので、ずーっと同じ局を聴き続けるときなどに使うことがあります。
[VFO]ボタンは、2つの周波数を切り替えて受信でき、周波数モードと選択度も合わせて記憶されるので、使い勝手も良く便利な機能です。特にボタン一つで切り替えられるのはとても使いやすいです。
[MODE]ボタンは、AM→同期AM→USB→LSB→CW→FAXと切り替えられるので良く使います。ただ、切り替えの方向が矢印の一方向だけなのでLSBからUSBに切り替える時などが少し不便です。尚、FAXというのは全く使いませんし、同期AMも効きが非常に浅く、状況によって若干ノイズ或いは混信が軽減されてるのかなぁ、という程度です。
[AF GAIN]は、ボリューム、[ATT]ボタンは、アッテネータで20db信号を減衰できますので超強力局を聴くときに使います。
[FILTER]ボタンは、選択度をWIDEとNARROWに切り替えられます。私は通常はWIDEで聴きますが、ノイズが多い或いは混信が多い場合は、USB/LSBでNARROWにして聴くようにしています。
又、正面パネル右上側の[テンキー]ボタンは、位置的にも非常に使い勝手が良いです。
そして私がこの受信機を使いたくなる最大のポイントが、ユラユラと揺れる[S(シグナル)メーター]です。
この機械式のSメーターがこの受信機の最大の魅力とすら思えてしまうほどです。
[メインダイヤル]は非常に軽いタッチでもう少し重々しくてもいいかなと思うほどスムーズです。またテンキーの中の[kHz]ボタンを押すことにより周波数の移動ステップが 0.01kHz → 0.1kHz → 1kHz → 10kHzと変更でき、素早い周波数移動をすることもできます。
使い勝手の感想
上位機種に比べて、機能的に物足りなさがあるのは否めませんし、折角付いている機能も100%機能しているとは言いがたい所が多々あります。
しかし、結果的に、実際使用するボタンとつまみが少なく、しかもよく使うボタンがメインダイヤル右側に配置されているので、手を動かす距離も少なくストレスが少なく使える機種になっています。
私は、この受信機の他にAOR AR7030とICOM IC-R75を持っていて、3台をローテーションで使っていますが、気がつくとNRD-345を長く使っています。
それだけ楽に扱える、使い勝手の良い受信機だという証拠なのでしょう。
信じられないくらい頑丈
1998年に購入して今年で約25年になるNRD-345ですが、改めて手元の受信機を眺めてみるとボタン、つまみ、ダイヤルいづれも購入した時と何一つ変わっていません。
つまり、すべてのボタンを押したときの感触、ダイヤルを回したときのスムースさ、ダイヤルを回したときのガリ音のなさ(全くありません。)、約25年使っているにもかかわらず、機械的不具合が一切ないのです。
特にテンキーボタンはかなりな回数使っていると思うのですが、いまだにすべてのボタンが押した時の「カチッ」という感覚を保っています。
さすが業務用無線機の専門メーカーだけあって、「耐久性」という面において、この作りのよさは驚嘆すべきことだと思います。
残念ながら、今や民生用の受信機は全く製造していないようなので、この感動を感じることは、なかなかできないのが残念です。
そんなNRD-345ですが、2009年に私のミスにより修理に出したことがあります。
この受信機は、中波帯において受信感度をあえて下げる設定がされているのですが、ネットの記事でその設定を解除する改造記事が出ており、簡単そうなので行ってみました。
ところが持ち前の不器用さが災いし、見事半田付けに失敗し短波帯の受信感度が落ちてしまうわ、元に戻すこともできないわで、日本無線さんに泣き付きました。
そうした所、「本来は改造したものに対しては対応しないが今回だけ特別で」、という事で対応していただきました。
それ以来大事に使っているので今も机の上で健在で、もしかしたらAR7030よりもメインで使っているかもしれません。(一応、ローテーションで使っていますが。)
もし壊れるとしたら液晶の周波数表示画面かなと思いつつも、今日もユラユラ揺れるSメーターを楽しんでいます。