ふと、数ある過去のBCLラジオの中で後世に最も影響を与えたラジオは何だろう?
などと考えていて最終的に自分の中で第一位に輝いたのは、SONY ICF-2001(D)でした。
販売台数で言えば、SONYのスカイセンサー兄弟 ICF-5800と5900、松下電器のクーガ兄弟RF-1150と2200が図抜けていました。
しかし残念ながら、それらのラジオの子孫と言えるものはあまり存在していません。
一部中華ラジオに例えばRF-2200の子孫と言うよりコピーと言った方が良いものがありましたが、少なくてもデザイン的な面ではBCLブームの終了と共に消え去ってしまいました。
ところがこのICF-2001(D)のデザインは、未だに多くのラジオに引き継がれています。
私の机の上に載っているTECSUN PL-680なども、よく見てみるとそのデザイン構成はICF-2001(D)と殆ど一緒です。
今から考えるとこのラジオは相当とんがったラジオで、何せ初代の2001は、ボリュームやトーンコントロールもスライドボリュームを使い、丸いツマミは一切使わないというこだわりようで、当時のSONYの技術者の自信と誇りを感じさせるものでした。
手元の1983年の4月号「月刊短波」の表紙見開きにICF-2001Dの広告が載っていますが、今までのラジオとは違うんだぞという主張がすごいです。
たださすがに、チューニングダイヤルが無いのは使いづらいということで、後期のモデルには回転ダイヤルが付きましたが、できるだけ目立たないようにデザインされているのは、たぶんよほど付けたくなかったんだろうことを感じさせます。
その代わり後期モデルはボタンの数がやたらめったらと増えていて(ページトップの写真参照)、当時の技術者なのか営業担当者なのかに、偏執的にボタンにこだわった人間がいたのではと思わせます。
とにかくこのデザインは、1980年に発売されて40年経った今でも、一つのスタンダードとして多くのラジオに採用されています。
それだけ最初から完成されたデザインだったということでしょう。
時代的に言うとウォークマンが発売されたのもほぼ同じ時期なので、当時のSONYの勢い、とんがり具合、カッコよさを感じさせる名器だと思うのです。
ウォークマンは昨年「誕生40周年記念モデル」が発売されましたが、このICF-2001の40周年記念モデルも出したりしないでしょうか、しないでしょうね。